想造舎プロデュース
公演観劇記 マキ・クニヒコ「英語がわからない人は隣の人が笑うタイミングで笑ってくださいね。」<br />いけずな目をしてこっそり話すダイアンさんのありがたいアドバイスに、会場はドッとわき返った。<br />大きな笑いの渦に巻き込まれながら、笑い話でなく本気でそうするしかないかもなぁと、キュッと身を固くするシャイな日本人は僕だけではなかったはず。その証拠に、<br />「では、いよいよ第2部。みなさんお待ちかねの英語落語です。」<br />の一言で会場は隠し切れない緊張感が漂った。<br />その空気を見回してから小さくウィンクすると、彼女はいったん舞台袖に引っ込みました。<br /><br />数分間の休憩中、小さな子ども達は大人を押しのけて前の空いている席に移動して、彼女の登場をまだかまだかと待っている。<br />ビートルズのイエローサブマリンのお囃子が流れてくると、30カ国以上のバックパッカー生活で鍛えられた最強の笑顔をたずさえてダイアンさん再登場。<br />背筋を伸ばして和服を着こなす稟とした立ち振る舞いと、子ども達の拍手に腰をかがめて小さく手を振る仕草。和の美しさと彼女の気さくなオーラが心地良い緊張と緩和を醸し出している。高座に上がって深々とお辞儀をし、顔を上げると同時に英語落語「ワンダフルジャパン」が始まった生まれて初めて飛行機に乗ってイギリスのど田舎から日本にやってきた青年ジェフ。日本にあこがれて何でも好意的に解釈する好奇心旺盛な彼は、道に迷った梅田でみな一様に同じ質問をする日本人達とハイテンションにやりとりを繰り返す・・・。<br />ジェフが空港に着いた頃にはもう僕は隣の人のタイミングを気にしていませんでした。もちろん、会場にいる誰もがそうだったでしょう。子どもも大人もジェフの珍道中にお腹をかかえながら彼の行く末を見守っていました。<br /><br />いわゆる落語のスタイルをそのままに英語で話すのではなくて、日本の話芸を踏まえながらもダイアンさんの底抜けに明るい個性がうまく混ざり合ったオリジナルな芸がそこにありました。<br />なまじ言葉がわかるよりも、むしろ不完全な方が足らない分を補い合おうとすることでコミュニケーションがグッと深く面白くなる。日本にいるとつい忘れてしまうそのことを思い出させてくれました。あぁ一体何を僕は不安がっていたのだろう。<br />僕自身も経験があるけど初めて行く国に行く時はその国の「あいさつ」と「ありがとう」などの2〜3の言葉だけ覚えていれば何とか渡り歩いていけるものです。聞くとダイアンさんはサムライ・ゲイシャ・ニンジャ・スシ・オサケだけで日本に来てヒッチハイクをしたとのこと。さすが達人はレベルが違う。<br />達人の技、しっかと楽しませていただきました。

■■■■観 劇■■■■
200689日(水)
兵庫県猪名川町文化体育館
主催 : 名川町国際交流協会


■■■■筆者紹介■■■■
コマイナーズ・コレクティブ 
さすらいの荒野マキ
URL:
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